犬は世界中でポピュラーな動物ですが、品種改良や人気のあるなしで現在では犬種そのものが存在していない・絶滅した犬種がいます。今回はこうしたわすれさられた犬種についてまとめました。
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絶滅した世界の犬種一覧
アーラント
スペインブルドックの祖先として知られている古代種です。
紀元前1000年ごろから17世紀まで存在していた短い毛を持った大型犬で、主に、ロシア周辺・中央アジアに生息・飼育されていました。
性格は、極めて勇敢で、戦争や警備犬、家畜の牧畜犬などの作業犬として活躍していたといわれています。
ヨーロッパ全域でアーラントをもとに品種改良がおこなわれた結果、優秀な交配種が生まれ、原種が失われたと考えられています。
現在目にするブルドッグはアーラントの子孫と言えます。
アルパインマスティフ(英名:Alpine Mastiff)
ローマ軍が軍用犬としてアルプス越えに用いていたとされる犬種で本来獰猛な性格の超大型犬です。
セント・バーナードの祖先といわれる古代種で、現在知られている多くのマスティフの祖先ともいわれています。
最大の個体は体高1m以上、体重150kg(360ポンド)以上と言われており、実存する犬種(マスティフやセントバーナード)を含めても最大と言っていいサイズです。
逞しい肉体を持っていたアルパインマスティフですが、先天性の疾患及び、さまざまな品種改良の結果、原種が失われたと考えられています。
イングリッシュホワイトテリア
イングリッシュホワイトテリアは1860年代初頭に、少数のブリーダーによって開発され誕生した犬種です。名前の通りイギリスで誕生し、現在でいうところの中型犬〜小型犬に当たる5kgから10kgという比較的小さな体ですが、非常に強い筋肉をもった犬種で,短い光沢のある白い毛が特徴だったと言われています。
ただ、もともと少数だったこともあり1890〜1900年台前半には、数を大幅に減らし表舞台から消えていったと言われています。
ケルティックハウンド
ケルティックハウンドは、アイルランドのケルト時代に生息しており、クーフーリンの伝説にも登場しました。
アイリッシュウルフハウンド、スコットランドウルフハウンド、グレイハウンドのミックスだと言われています。ケルティックハウンドは、17世紀の絵画や宝飾品にも描かれています。そこには、狩人や道路を守る警備犬、さらには失われた魂を保護する犬として描かれています。
コルドバ・ファイティング・ドッグ(英語:Cordoba Dog)
コルドバ・ファイティング・ドッグは、スペインのコルドバ原産の闘犬・家畜屠殺用の犬種としてイングリッシュブルドック、ブルンバイザー、ブルテリア、スパニッシュマスティフの交配によって生まれた犬種です。
スムースコートの毛並みで毛色は白のみで、大型犬ですが性格は飼い主には忠実ですが、興奮すると手がつけられなくなるという特長があったようです。
もともと凶暴なわけではなかった犬種ですが、闘犬となった場合に非常に獰猛で、闘犬が世間一般的に認められた時代には人気の犬種でしたが、スペインで闘犬が禁止されると数を減らし、交尾中攻撃的になりすぎ、雌犬を咬み殺すなど繁殖を成功させることも困難な犬種だったため絶滅しました。
また、アルゼンチンに数十頭輸出され、その後コルドバ・ファイティング・ドッグが交配・繁殖からから1920年にドゴーアルヘンティーノが誕生しました。
ティモンズ・バイター
19世紀ごろに登場した犬種ティモンズ・バイターは、オーストラリアン・キャトル・ドッグの原種として知られています。
イギリス産のスミスフィールド・キャトル・ドッグとオーストラリアの野生種ディンゴを交配し作られた犬種で、この犬種が作られた背景には、スミスフィールド・キャトル・ドッグの数が減り優秀な後継種を生み出すための実験的な試みとも言われています。
牧牛犬として優秀ですが、足への噛みつきが強く家畜を傷つけてしまうことから、改良が必要ということになり犬種としては数を減らし、今では、オーストラリアン・キャトル・ドッグに置き換えられていき絶滅という流れになりました。
ドゴ・クバノ(キューバン・マスティフ)
ドゴ・クバノは、元々16世紀にスペイン人がキューバ周辺に持ち込んだ古いタイプのスパニッシュ・マスティフです。ドゴ・クバノは狭い頭、鋭い唇、垂れた耳、短いしっぽ、黒い斑点のある灰色をした犬種でした。
ブルマスティフの一種で、キューバのマスチフ(キューバン・マスティフ)とも呼ばれ、主に戦闘、逃げた奴隷を捕まえる使役犬でした。
奴隷制度があったカリブ諸国に連れて来られましたが、奴隷制廃止後、ドゴ・クバノは姿を消しました。
ノース・カントリー・ビーグル
ノース・カントリー・ビーグルは、19世紀まで生きていたイギリスの絶滅した犬種で主に猟犬として改良されてきたと言われています。
優れた犬種を作るための過程に登場したため、その後の異種交配により消えてしまいました。いつノース・カントリー・ビーグルが絶滅したのか正確な時間はわかりません。ただ、現代のビーグルの祖先として知られていて、垂れ耳でウサギ狩りが得意といった特徴や非常に似た外見をしてたと言われています。
デュピュイ・ポインター(ブラク・デュピュイ)
デュピュイ・ポインターは古いフランスの犬種で、その柔軟性と敏捷さから、平らな土地で狩猟のために使用されました。
フランスのポインターの中では比較的イングリッシュ・ポインターが多く混ざっていると言われる珍しい犬種で、出自は17世紀とも19世紀とも言われており実際はよくわかっておらず、現在では絶滅しているとも言われています。
名前の由来としては、兵士が持ってきたアフリカ・スラウギと犬を交配させたピュイ兄弟にちなんで名付けられたと言われており、この犬は白くオレンジの斑点がありました。
ブレンバイザー(英名:Bullenbeisser)
ブレンバイザーはドイツ語で「牡牛を噛む犬」という意味を持つドイツ原産の狩猟・闘牛用として用いられていた犬種で、14世紀から存在していたことは確認されており、元々ドイツに土着していた犬種だったとされています。
ボクサーとグレート・デーンの祖先とされているブレンバイザーは、カンガール・ドッグの一種であり、マズルはやや短く、首は太い特徴と持ち、短い縞模様の毛、強い筋肉を四肢に備えていました。
より屈強さを求めた結果、前述のボクサー、グレート・デーンなどが生まれる過程で他の犬種との混血が進み。結果として絶滅してしたとされています。
また、前述のボクサーは、ブレンバイザーを小型化したブラバンダー(英:Brabanters)という犬種が直接の祖といわれています。闘牛犬としてオールド・イングリッシュ・ブルドッグなどと掛け合わされて品種改良された犬ですが、ブレンバイザーより小型のため、かむ力はブレンバイザーの方があったといわれています。
絶滅犬種が教えてくれること
犬種の絶滅は、他の野生動物と違い、人の手で殺された、環境の変化で絶滅したということはほぼなく、人による交配の中で犬種がいなくなっていくという特徴があります。
人と犬の歴史の中で新しい犬種が現れ、次の世代に交代し、今見ることのできる犬たちに脈々と繋がっています。今後も人間との関わりの中で新しい犬種が現れ人と共に変化していくのではないでしょうか。
一方で、人間のわがままで犬種が増えることで、犬本来の特長が失われることがないようにしてほしいですね。
