ペット

ペットとは  愛玩動物からコンパニオン・アニマルへ ペットの歴史と現在

ペットとは

人々がペットと共に生活するという行為は、古代からの伝統であり、世界中の文化で見られます。

この記事では、ペットの歴史から現在までの変遷を辿ります。

古代のペット飼育から、現代におけるペットと人間の関係性の深まりまで、ペットが私たちの生活に与えてきた影響とその価値について考えていきます。同時に、この変遷を通じて、ペットと人間の関係がこれからどのように発展していくのか、その可能性を探っていきます。

ペットとは

ペットとは和訳すると愛玩動物を指します。愛嬌ある仕草で、人の心を和ませ、犬などの場合ともに散歩をしたりすることで、楽しむことが出来、鳥などは室内で飼育することで、鳴き声や容姿を鑑賞し楽しむこともできます。

様々な人々の趣向に合わせたペットが存在しています。 ペットの歴史は深く、日本でも犬は縄文時代から猫は平安時代とも言われています。 世界的な話だと古代エジプトでは猫が壁画に描かれており、人類との関わりの長さを示しています。

ペットの定義

ペットは、人間を楽しますために飼育される愛玩動物として定義されていますが、ペットに近い存在として家畜があります。 家畜とは、牛や馬、羊などに代表されるように食することを目的として飼育あるいは農作業に労働力として使用する動物を指します。また、今ではペットとなっている犬や猫も元々は狩猟やネズミの駆除などのための家畜として考えられていましたが、飼育者の考えによっては、ペットかつ家畜といった扱われ方をしているため、飼い主次第で定義が変わるためペットと家畜の境界線は非常に曖昧です。
また近年ではより人間と動物の関わりあいは親密になり、愛玩する動物から、人生の伴侶としてともにいきていくコンパニオン・アニマルという概念で考えられることも多くなりました。

ペットは愛玩という「物」という扱い方から、ともに生きる「家族」という扱いにかわってきているのです。そのため、ペットや飼うといった言葉をあえて使わない方も増えています。

メガネ犬編集長
メガネ犬編集長
日本でもペット=家族という考え方は、だいぶ進んでおり、例えば伝統的に犬は番犬という認識でしたが、集合住宅が増えた影響もありますが、大型犬であっても室内飼いが推奨され、都市部の多くでは犬でも室内飼い、猫も完全室内飼いが進んでいます。

ペットと人の歴史

ペットとの関わりは歴史とともに変化しています.
古代の人間はさまざまな動物を使役しようとしたといわれていますが、最もパートナーとして適していたのが犬の祖先(オオカミの一種)で、群れの中ではっきりとしたヒエラルキーをつくり、群れのなかの強いものに従うことが習性としてあったからと考えられています。

人間と動物の最初の関わりは、狩猟動物や番犬などとして犬の祖先の使役を始めたことと言われています。これは一方的な関係ではなく、お互いに利益のあることでした。人間は狩猟の効率を上げることができ、使役されていた犬の先祖たちは、人間に協力することで食料のおこぼれや餌を獲得することができました。また、牛、馬や鶏、豚などの家畜と違い、遺跡などで見つかる犬の骨は丁寧に埋葬されており、人間にとって家畜以上の存在であり、一定の愛情をかけていたと推測されます。

https://www.pet-on.com/dog/about-dog/

その後の歴史の中では、猫はねずみなどの害虫から食料などを守る目的で使役され、さらに人間の生活の豊かさが増すごとに、動物の扱われ方が変わります。

https://www.pet-on.com/cat/about-cat/

世界では、人間と動物は実務的な関わりではなく、権力の象徴として、珍しい動物や美しい動物が飼育されはじめます。古代シュメール王国ではサルーキがイギリスヴィクトリア王家ではマルチーズやポメラニアンなど、日本でも平安時代には、猫が珍しく官位が与えられたり、戦国時代では、ポルトガル経由で様々な洋犬が持ち込まれ、珍重されました。ときには臣民や家臣以上に動物を愛した権力者も少なくありません。
とくに犬については、狩猟、牧畜、ペット、使役など様々な人間の目的に沿って繁殖され現在では野生種には存在しない人間によって作られた種類が多数存在しています。
犬・猫以外では、インコなどの鳥や、錦鯉、金魚などの魚類でも野生では存在し得ない個体が作られています。
現代においても、こうした人間の目的に沿った繁殖は様々な種類の動物でも行われており、好まれる種類によって流行があります。

日本でも、文鳥やハムスター、犬ではスピッツ、チワワ、トイプードル、ゴールデンレトリーバー、シベリアンハスキーや純血種同士をかけ合わせただけのデザインドッグなどもそれぞれの時代で流行となってきました。
こうした、歴史を経て人間は同じ家で過ごす動物たちに愛玩動物以上に愛情をかけコンパニオンアニマル(伴侶動物)という考え方が広がり、家族として人間に親しい存在として動物と接する人間も増えています。
例えば、意識的に言葉を選び、雄・雌ではなく、男の子、女の子といった人間のように呼び、餌と呼ばず食事と表現するなど人間扱いをすることもあります。

ペットを取り巻く問題

人間とのかかわりを深めてきたペットですが、明るい話ばかりでなく、様々な社会問題もあります。

ペットの殺処分問題

ペットの殺処分問題については、世界的に問題になっている部分です。 日本では犬猫など年間45万頭が殺処分されており、それでも毎年その頭数は減少しています。

殺処分ゼロの自治体なども出てきていますが、実際は保健所から保護団体が引き上げることで、数字的に0になっているといったこともあるようで、無理をした保護団体が崩壊してしまうなど、まだまだ課題の多い状況です。

また、ヨーロッパでは特に動物愛護意識が高くドイツでは、殺処分はないと日本では考えられていますが、実際はないわけではありません。

保護施設で保護しきれなくなり、飼い主がいなければ実際は殺処分になったり、野良犬や野良猫は国から免許の交付を受けたハンターの射殺対象になっているなど、実際は犬猫などペットが殺されています。その数は日本の殺処分と同等程度と言われています。
このような状況がなぜ起きるのかは、ペット飼育への考えの甘さや繁殖者による過剰供給などが挙げられます。

メガネ犬編集長
メガネ犬編集長
上記説明のとおり、海外は殺処分がないと思われがちですが、別の形での殺処分があります。野良犬・野良猫の射殺などはドイツなどヨーロッパで存在しており、迷子になってしまった、たまたまなんらかの理由で外にいた飼い犬・飼い猫が誤って射殺されてしまうなどの事故も発生してしまうこともあるようです。動物愛護に関して非常に進んでいる国々でも、殺処分という項目の数字に残らないケースもあるようです。

また、多数のティアハイムがあり、保護施設がしっかりしているというのが一般的な認識ですが、そもそもなぜ多数のティアハイムが必要なのかといえば、捨てる人も多いからです。実際のところ、どこの国も動物を家族のように扱う人もいれば、そうでない人もいるということです。

繁殖についての問題

繁殖者による過剰供給は、売れなかったペットたちの行方やペットそのものの奇形や、遺伝的疾患など問題が起こります。
品種として確立するには、長い期間すこしずつ理想的な体型を求めた結果、健康な新しい品種として登録されるのですが、近親交配やかわいいという理由だけで、無理な犬種での交配が行われることもあります。

またこうした危険な交配の一例としては、現在では有名猫種となったスコティッシュフォールドの例が挙げられます。

この猫種は、折れ耳が特長ですがこの耳は奇形で、関節系の疾患になる可能性が高く、海外では、純血猫種から外し繁殖を禁止するといった傾向が出てきています。

ペットにまつわる迷惑行為やモラル違反

ペットを公共施設などに連れて行く際の配慮の欠如があります。
誰しもがペットを好きなわけではなく、動物アレルギーをもっているかたなどにとってはペットとの接触,間接的接触が健康被害を生むことになるため、不特定多数が出入りする施設や店舗など公共の場では、必要に応じてケージ等に入れ、他の人がいる場でペットが自由に動き回ることのないようにするのが飼育者に求められているマナーとされています。

こうしたマナー違反は民事・刑事を含めた裁判に発展することがあります。

ペットロス

ペットとの物質的距離、精神的な距離が縮まることにより、例えコンパニオンアニマルという伴侶動物の概念を知らなくても家族同様に感じている飼い主は現代では多く存在しています。そのためペットの死や失踪により、その悲しみからうつ病等の精神疾患になってしまい、最悪の場合、心臓病等の身体的な病気にまで発展してしまうケースがあります。

こういった症状を「ペットロス」あるいは、「ペットロス症候群」と呼ばれています。 人間の家族を亡くした場合も同様の症状(うつ等の精神疾患)を起こすことがあり、如何にペットと人間の関わりが密接になったかわかる現象でしょう。

ペットにおける法規制

ペットと人の関係性の変化によって、ペットの権利に関しても法規制があります。

ヨーロッパについては、「ペット動物の保護に関する欧州協定」(1987年)が結ばれるほどペットの権利保護に熱心です。特にイギリスでは、19世紀には愛護法の基礎が出来ており、一方で日本を含めたアジアでは台湾を除き遅れています。

イギリス

動物愛護の先進国と言われ、動物の飼養、利用に関連する法令は70を超えています。 動物愛護の歴史は1822年に制定された「家畜の残酷で不適当な使用を禁止する法律(通称マーチン法)」から始まっています。1876年に「動物虐待防止法」、1911年に「動物保護法」といった法律が愛護に関しての基本となっています。

また、その後1951年の「ペット動物法」でペットショップの認可制、「動物(科学的)処置法」(1986年)では実験動物に対しての規制を制定しています。その他にも野生動物や危険な犬に対しての管理や取締に関する法律なども存在しています。
また、1824年には、RSPCA(王立動物虐待防止協会)という保護団体が設立されており、アニマルセンターやクリニック、里親探しから動物虐待を調べる捜査官も養成しています。

ドイツ

1933年「ライヒ動物保護法」が始まりで、90年には民法に「動物は物ではない」と規定されています。

それでもイギリスと比べれば動物愛護のはじまりは早くはない一方で1974年の「犬の屋外保有に関する命令」などでは、飼育方法が小屋の素材風向きまで詳細に決められていたり、88年の改正では、ペットの種類によって細かな飼育規定が定められています。さらに犬税が存在しており、州法に基づき市町村税として飼い主に課税されます。

フランス

イギリスから少し遅れ、1850年に「1850年7月2日法」(グラモン法)で、動物虐待を処罰する法律を規定しており、その後廃止され、動物虐待は通常の刑法に含まれました。
「1976年7月10日法」では動物は人間と同じく「感覚ある存在」と規定されています。要するにものではないと規定したのです。
その他、ユニークなのは、フランスでは「1970年7月9日法」で、住宅(集合住宅も含む)の契約に関連して、ペット飼育を禁止する規約を結ぶことを無効としています。ペットがいることで、規約違反とはならないのです。

アメリカ

アメリカについての動物愛護法は近年になってからで、これに該当するのが「1985年修正動物福祉法」(動物福祉法)です。
この法では、動物愛護、虐待防止のための認可制度、禁止事項、罰則等を規定し、また法的権限を持つ査察官制度が確立しています。さらに、アメリカでは連邦制ということから、各州や都市によって動物愛護に関わる詳細な規定が異なります。最近ではカリフォルニアではペットショップが禁止されたといったニュースが話題になりました。

アジアと日本

こうした欧米に比べ、アジア及び日本の動物愛護意識は遅れております。ただ台湾では、2017年4月26日の動物保護法の中に、飼育の年齢制限、飼育環境の基準他、魚類、両生類を含む脊椎動物を愛護対象とし、4半期ごとに検査検討をするとし、アジアの中では抜きに出ています。
日本でも一般家庭での動物愛護意識やコンパニオン・アニマルといった考え方への理解は進み、動物愛護法についても5年毎に見直しはありますが、残念ながら現状は動物愛護の法的整備は台湾にも遅れをとっています。

まとめ ペットは家族になったが問題はまだ残る

ペットは使役動物・家畜から愛玩動物に変化し、現在ではコンパニオン・アニマルという家族にその立場が変化してきました。一方で動物愛護に関しての意識は人々の間でも格差があり、国ごとに異なります。


そのため、ペットの過剰繁殖、動物虐待、殺処分などの問題があり、動物を守るための法整備等も各国で進んでおり、ペットと人間の関わりは時代とともにより深化していると言えます。

ペットに関してのよくある質問 Q&A

Q1: ペットと愛玩動物、コンパニオン・アニマルの違いは何ですか?

A1: 「愛玩動物」は主に人間が楽しむために飼われる動物を指し、ペットとはこの愛玩動物の一般的な呼称です。

一方、「コンパニオン・アニマル」は、より深い意味を持つ語で、ただ楽しむだけでなく、人間と共に生活し、心の支えとなる存在を指します。

Q2: ペットの歴史はどのように進化してきましたか?

A2: ペットの歴史は非常に古く、古代文明時代から動物が人間の生活に寄り添ってきました。初めは狩猟や保護の目的で飼われていましたが、時間と共に人間との絆が深まり、現在では家族の一員として見なされるようになりました。

Q3: コンパニオン・アニマルとしてのペットの役割は何ですか?

A3: コンパニオン・アニマルとしてのペットは、人間の心の支えとなり、孤独感を和らげ、ストレスを減らし、生活に喜びをもたらす存在です。また、共感や責任感など、人間の社会性を育てる役割も担っています。

Q4: 現代のペットの飼い方にはどのような傾向が見られますか?

A4: 現代では、ペットは単なる所有物から、家族の一員として扱われる傾向が強まっています。その結果、ペットの健康や幸せを重視する動きが強まり、ペットに対するケアや教育により多くの時間とリソースが投資されるようになっています。

Q5: これからのペットと人間の関係はどのように進化すると予想されますか?

A5: ペットと人間の関係はこれからも深まり、ペットの権利がさらに重視されることが予想されます。また、科学的な進歩により、ペットの健康や幸せを保つための新しい手法が登場することでしょう。

ABOUT ME
メガネ犬編集長
ペット関連仕事についていた経験から編集長に就任。犬も猫も小動物も爬虫類も大好きです。 現在妻、息子、犬1、猫4、メダカ5匹と暮らしています。 目下の悩みは老猫の病気のケアです。